「夫婦関係に疲れた」「離婚すべきか」など、夫婦関係に悩む方も多いのではないでしょうか。
仮面夫婦とは、一見は幸せそうな夫婦として生活していますが、実際は良好な関係を築けていない夫婦のことです。
良好な関係ではない状態で長期間結婚生活を継続している方のなかには、「仮面夫婦とは何か、自分たちも当てはまるのか」と疲れたり、悩んだりする方も多いです。
そこで本記事では、仮面夫婦とはなにかについて、判断するためのチェックリストや仮面夫婦のメリット・デメリットを解説します。
仮面夫婦の定義や、行く末やリスクを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
仮面夫婦とは?その定義と特徴をチェック
仮面夫婦とは、夫婦として円満な家庭を築いているように見えても、心のつながりが弱まっている状態のことです。
夫婦間の会話が減り、互いに関心がなくなることが特徴です。
最初に、自分たちが仮面夫婦なのかをチェックしてみましょう。
仮面夫婦チェック
仮面夫婦とはなにかを確認したうえで、自分たちが仮面夫婦かもしれないと不安になったら、チェックリストを使って仮面夫婦診断を受けてみましょう。
- 相手への愛情を感じない
- 人前では仲良く振る舞う
- 相手に興味がない
- 家にいてもコミュニケーションを取らない
- 休日を一緒に過ごさない
- 子供の話しかしない
- 1年以上肉体関係がない
- 過去に不倫をした、またはされたことがある
- 他に気になる異性がいる
- 夫婦の役割分担がはっきりしている
チェックリストに4つ以上の項目があれば、仮面夫婦の可能性が高いです。
ただし、このリストはあくまでも一般的な項目です。100%すべての夫婦に当てはまるとは限りません。
たとえば、身体的な理由から肉体関係を持たない、相手が単身赴任で休日は一緒に過ごせないなど、自分のライフスタイルも考慮しましょう。
冷え切った夫婦の特徴
自宅ではほとんど話さず、LINEやメールなど必要最低限のコミュニケーションしかとらない夫婦は、仮面夫婦の可能性があります。
子供の前では仲良く話していても、子供以外の話題では2人で会話することはありません。
さらに、自分たちの空間に居心地の悪さを感じ、家ではできるだけ別々の部屋で過ごすのも特徴です。
また仮面夫婦は、夫が収入を得る役割・妻が家事や子育てをする役割など、分担がはっきりしているケースがあります。
妻は夫が収入を得て、生活するためのお金を家庭に入れてくれるのであれば十分だと感じています。
夫も、妻が家事と育児をやってくれていれば、それ以上は何も求めません。
家庭内での役割さえ果たしていれば、気軽な関係を装えるのも冷え切った仮面夫婦のあるあるです。
仮面夫婦の割合と実態:どのくらいの夫婦が該当するのか?
現代においては、経済的な理由や子供の教育のために、仮面夫婦を継続する家庭も少なくありません。
どの程度のカップルが仮面夫婦なのか、データも合わせて紹介します。
仮面夫婦の割合と背景
ライブドア調査によると、日本の仮面夫婦の割合は3割近いといわれています。
仮面夫婦であると回答したカップルは、20代、30代では23.5%であり、40代では29.5%にのぼりました。
【参考】livedoor News「既婚者にアンケート 「自分たちは仮面夫婦」と答えた人の割合は」
日本では仮面夫婦の割合が高く、幸せそうに見えるカップルも、実は仮面夫婦である可能性があるでしょう。
家庭内別居と仮面夫婦の違い
家庭内別居は名目上「同居」ですが、実態は「別居」とほとんど変わらません。
仮面夫婦と家庭内別居の違いは、「人前で夫婦のように振る舞うかどうか」です。
仮面夫婦の場合は、体裁や子供のために、外からは幸せな夫婦に見えるように振る舞います。
家庭内別居の場合、仲の良い夫婦を装う必要性を感じないケースも多く、そもそも夫婦そろって公の場に姿を現すことがあまりありません。
仮面夫婦を続けるお互いのホンネ:なぜ離婚しないのか?
仮面夫婦の夫の多くは、なぜ仮面夫婦状態を続けるのでしょうか。
経済的理由や社会的圧力・子供への影響など、背景にはさまざまな要因があります。
ここでは、なぜ仮面夫婦が離婚をしないのか、互いの本音や離婚できない理由を紹介します。
夫や妻の気持ちと本音
男性の場合、離婚や別居によって子供との接点がなくなることを心配する方もいるでしょう。
なお、夫が後見人や監護者(子供と生活を共にして、子供の面倒を見る存在)にという選択肢もあります。
しかし、昼間は夫が会社で働き、育児は主に妻が担当するという家庭も少なくありません。
そのため、後見人や監護者にはならず、離婚すると男性が子供に会える機会が減ってしまう可能性が高いです。
一方、女性の立場で考えると、夫と別居する場合には生活費をすべて自分で負担しなければなりません。
家庭内別居をしている時点で、家計を別にして生活費を各自が負担することもありますが、住居費や水道代・電気代・ガス代などは夫が分担して負担するケースが多いです。
ただし、別居の場合は、住居費・水道代・電気代・ガス代はすべて自己負担をしなければならず、経済的に難しいことがあります。
離婚に踏み切らない理由
別居をしている場合は婚姻費用として生活費を受け取ることができますが、離婚の場合は配偶者の扶養義務が終了します。
そのため、妻は夫に自分の生活費を請求することはできなくなり、子供の生活費のみ請求できる状態になります。
特に専業主婦で、夫の収入で生活をしていた場合、経済的な不安から離婚はできず、家庭内別居をすることになる場合もあるでしょう。
さらに、両親の離婚や別居は、子供の気持ちにも少なからず影響を与えます。
子供の性格や年齢によりますが、悪い影響を与える可能性もあるため、子供のことを不安視して家庭内別居をする方もいます。
仮面夫婦の行く末:その関係はどうなる?
仮面夫婦の継続には限界があり、さらに関係が冷え込めば家庭内別居や離婚に発展することも多いです。
ここでは、仮面夫婦の行く末について解説します。
仮面夫婦はいつまで続けられるか?
セックスレスで、夫婦の愛が冷めることがあります。
原因は、性欲や体力の減退などの身体の問題や、他に肉体関係を持つパートナーがいるなどです。
年齢や肉体的な問題の場合は、関係を元に戻せる可能性もあるため、カウンセラーに相談する方法も有効です。
一方、不倫の場合は関係修復が難しいかもしれません。離婚するための証拠を収集し、離婚を考えるのも一案でしょう。
離婚に至るタイミングときっかけ
仮面夫婦が離婚をする場合、タイミングを決める基準のひとつは、子供がいるかどうかです。
たとえば、子供がいない夫婦は、離婚して別の家に住む側に一定の収入があり、1人で暮らせると判断した時点で離婚するケースがあります。
夫婦に子供がいる場合、子供が成人して自立した頃に離婚することが多いでしょう。
子供が自立する時期には、数十年を夫婦として過ごしていることになるため、この時期の離婚は「熟年離婚」と言われます。
仮面夫婦の結末としての離婚は、夫婦にとっては新しい人生のスタートでもあります。
しかし、経済的不安や社会的地位・人間関係も変わるといった、生活の変化の問題も起こるでしょう。
また、離婚手続きにおいてもさまざまな問題が発生します。
一方が離婚を望んでいても、一方が離婚に応じなければ、交渉による離婚は困難です。
話し合いをしても解決できない場合は、調停や裁判によって離婚することになります。
仮面夫婦が子供に与える影響とリスク
仮面夫婦でいることは、子供に大きな影響を与えるかもしれません。
子供は両親の関係を敏感に察知し、反応することが多いです。
ここでは、仮面夫婦でいることで子供にどのような影響があるのか、仮面夫婦の子供の特徴や成長について紹介します。
子供への心理的影響
子供は、家庭内のピリピリした雰囲気を自分が解決しようと考えます。
両親の関係が良好であってほしいがために、感情を抑え込み、「明るい子供」を演じようとします。
また、「自分が仲を取り持つ必要がある」という感情から、雰囲気を察しながら行動することが多いです。
結果、実際の年齢より大人っぽくなることも少なくありません。
そして、自分の本当の気持ちを表現できずに我慢してしまうこともあります。
子供に与える将来への影響
仮面夫婦で育った子供は、「家に居場所がない」という気持ちや、家族に対するさまざまな思いが影響を及ぼすといえるでしょう。
結果として、精神面が不安定になり、感情をうまくコントロールできなくなることがあります。
ほかにも、親に構ってほしくて問題行動をする可能性も考えられるでしょう。
さらに、仮面夫婦の間で育つと、結婚生活への希望を失ってしまいます。
仮面夫婦の関係性を見ているため、夫婦関係に何も期待できなくなるからです。
仮面夫婦で終わるよりも、1人で生きていくことを選び、独身を貫く方もいます。
人生の大切なイベントであるはずの結婚に対し、価値観が歪む可能性があることを意識しておかなければなりません。
仮面夫婦の暮らし「あるある」:典型的な生活パターン
仮面夫婦の生活には、複数の共通したパターンがあります。
ここでは、仮面夫婦生活によく見られるパターン、「仮面夫婦あるある」を解説します。
仮面夫婦の典型的な日常
仮面夫婦は、表では「幸せそうな夫婦、幸せな家庭」として振る舞っているため、公の場では当然夫婦が仲良く会話をしたり、触れ合ったりします。
また、対外的には幸せな夫婦として振る舞うため、学校や会社の行事、友人とのイベントには一緒に参加することが一般的です。
多くの場合は親族にも仮面夫婦であることを隠しており、普通の夫婦と同じようにお互いの実家を訪ねたり、親戚の集まりにも仲良く参加したりすることもあります。
しかし、自宅では夫婦としての会話や身体の触れ合いはなく、会話をする場合でもビジネスライクで最低限にとどまることが多いです。
仮面夫婦には夫婦間の愛情がなくなっており、夫婦なら当然持っているはずの相手への関心もありません。
そのため、夫や妻が帰ってくる時間や、出かける予定を気にしないことが多いです。
家庭内別居の実態
家庭内別居をする頃には、ほとんどの場合、夫婦関係は終わっているか、終わる直前である可能性が高いです。
家庭内別居の時点で夫婦関係が元に戻せないとしても、家庭内別居によって夫婦関係が完全に壊れてしまうケースもあります。
同じ家に住む以上、相手との接触を完全に絶つことは難しいでしょう。
そのため、どうしても相手の生活態度や言葉、存在そのものが気になり、別居の場合よりもストレスがたまりやすい状況に陥る可能性があります。
一方、家庭内別居することで、掃除や洗濯といった相手のための家事をする時間をスケジュールに合わせる必要はありません。
場合によっては、家庭内別居が気楽で、夫婦同居に戻りたくないということもあるでしょう。
さまざまな理由から、家庭内別居は離婚の可能性を高めます。
また、家庭内別居を長く続けているほど元の夫婦に戻ることは難しくなり、離婚する確率も上がってしまいます。
仮面夫婦を楽しむという選択肢:続けることのメリットと注意点
仮面夫婦のまま生活することは、悪いことばかりではありません。
ここでは、仮面夫婦でいることのメリットと、注意したいことを解説します。
続けることのメリット
経済的に余裕のない主婦やパート・アルバイトにとっては、たとえ仮面夫婦であっても、結婚しているということは相手に収入があるということであり、お金の心配をする必要がありません。
もちろん、子供にとっても両親のもとで育ったほうがよい場合があります。
また、結婚していると社会的地位を維持でき、世間体を気にしなくてよいという点もメリットです。
1人より2人の方が将来高い年金をもらえる可能性が上がり、相続の際にも有利です。
さらに、離婚の決定、離婚協議書を作る、調停を申し立てるといった、各種手続きの手間がかからないのもメリットだといえるでしょう。
精神的な負担と「しんどい」と感じる理由
仮面夫婦は、表面的にはうまくいっているように見えても、実際には夫婦間の愛情は希薄で、心のつながりもありません。
そのため、同じ家で一緒に暮らしていても、精神的に孤独感を覚えたり、寂しい思いをしたりすることがあります。
また、夫婦仲が悪いことは子供を育てるうえでもデメリットになる可能性が高いです。
仮面夫婦は夫と妻が表向きのみの関係を維持しているため、多くの子供は本当の家族の温かさや安心感を得られません。
仮面夫婦の親は、子供の心理的発達に悪影響を与えることがあります。
さらに、多くの仮面夫婦は肉体関係がなくなり、セックスレス状態はストレスや相手への不満につながります。
性欲が満たされず、配偶者以外の異性に興味を持つようになれば不倫につながり、結果的に夫婦の信頼関係を損なうことにもなりかねません。
戸籍上も世間体も夫婦としての関係が続く限り、配偶者以外の異性と関係を持てば不貞行為とみなされ、慰謝料を請求されることもあるため注意が必要です。
仮面夫婦を続ける場合はリスクも考慮しよう
肉体関係もなく、たとえ夫や妻が不倫をしていても無視することもあり、結婚以外の不倫を自由にするカップルもいます。
なかには、よい関係を築けている仮面夫婦も存在するといえるでしょう。
しかし、仮面夫婦は外見や体裁の面でメリットがある反面、幸せな夫婦であることを演じるストレスがあります。
そのため、本来の夫婦としてやり直せる道を探すか、離婚して仮面夫婦を終わらせるかを検討しましょう。