不倫や浮気が発覚した場合、きちんと謝罪がありその後も誠意ある対応を続けてもらうことが望ましいですが、必ずしも思いどおりには進みません。
交渉が決裂してしまったような場合は、慰謝料請求の裁判を起こすことになります。
裁判を進めるにあたって、どのような流れで進んでいくのか知っておくと、自分で裁判を進めていくべきか弁護士を立てたほうがよいのかなどの判断ができます。
本記事では、不倫・浮気による慰謝料請求の裁判手順とともに、自分か弁護士かの判断基準やリスクも徹底解説します。
不倫・浮気による慰謝料請求を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
不倫の慰謝料請求において裁判に至る前のステップ
不倫が発覚したらすぐに裁判を起こすのではなく、当事者同士で交渉を進めて折り合いがつくところで和解を目指します。
不倫の慰謝料請求において、裁判に至る前のステップについて解説します。
話し合いによる解決が最優先
多くのケースでは、まず話し合いでの解決が試みられます。
話し合いでお互いが納得できれば、裁判に持ち込まずに解決できるため、精神的・経済的な負担も少なくなります。
慰謝料請求の話し合いの際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 目標を決める
交渉することで、何を得たいのか明確にします。
たとえば、慰謝料であれば「できる限り多く」ではなく、具体的に「慰謝料200万円」というように明確にしましょう。
- 相手の主張・要求を確認する
自分だけが主張するのではなく、相手の主張や要求もしっかり確認しましょう。
- 状況分析する
交渉で話すことは、慰謝料のことだけではありません。
話し合う論点を整理し、お互いの状況を正確に把握しましょう。
- 交渉の進め方を考える
以上を踏まえて、どのように交渉を進めていくか考えます。
話し合いを有利に進めていくためには、不倫の事実を立証するための証拠が必要です。
証拠がないと、配偶者に不倫の事実を認めさせるのは困難といえます。
一般的に、不倫の証拠となりえるものとなりえないものは、以下のとおりです。
証拠となりえるもの | 証拠となりえないもの |
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男女関係があったと推測できる内容だと、より証拠として有効性が高いものといえるでしょう。
示談の場合には公正証書で法的効力を持たせる
話し合いの結果示談に落ち着ける場合でも、公正証書によって内容を法的効力を持って担保しておくことが重要です。
公正証書とは、私人から依頼を受けて公務員である公証人が作成する公文書です。
公正証書を作成することで、万が一支払いが滞った場合でも、法的手続きを通じて強制的に取り立てできます。
また、公正証書があれば支払いの確実性が高まる点も、大きなメリットです。
不倫の慰謝料請求裁判を起こす前の準備
不倫の慰謝料請求裁判を起こす前には、裁判を起こすメリットとデメリットや、裁判に必要な証拠を集める必要があります。
また、自分で裁判を進めるのか、弁護士を立てて裁判するのか判断しないといけません。
不倫の慰謝料請求裁判を起こす前の準備について解説します。
裁判のメリットとデメリット
裁判に進む前に、裁判を選ぶメリットとデメリットをよく理解しましょう。
裁判には費用と時間がかかるため、他の手段と比較して慎重に判断することが重要です。
- 裁判で慰謝料を請求するメリット
裁判で慰謝料を請求するおもなメリットは、以下のとおりです。
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裁判のメリットは、判決が出れば不倫したかどうかハッキリでき、慰謝料の金額が明確に決まる点です。
また、慰謝料が支払われなければ強制執行がおこなわれ、慰謝料の取りこぼしがなくなる可能性が高くなります。
- 裁判で慰謝料を請求するデメリット
裁判で慰謝料を請求するおもなデメリットは、以下のとおりです。
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裁判を起こすだけで、かなりの費用がかかります。
具体的には、印紙代や文書の郵送代、弁護士を立てるのであれば弁護士費用が必要です。
裁判は長期間にわたり、判決が出るまで1年以上かかることもあるといわれています。
手間や時間だけではなく、精神的な負担も大きくなるでしょう。
裁判に必要な証拠を集める
裁判で勝つためには、不倫を証明する証拠が重要です。
精神的苦痛や不貞行為を証明する証拠を適切に集めておくことが求められます。
- 不貞行為の証拠
前述のとおり、不倫の証拠となりえるものとなりえないものが存在します。
男女関係があったと推測できる内容だと、より証拠として有効性が高いものといえるでしょう。
- 精神的苦痛を証明する方法
精神的苦痛とは、苦しかったり辛かったりするような大きな精神的負担を指します。
また、精神的苦痛は目に見えないため、どれほどの苦痛なのかを目にみえる形で書きましょう。
たとえば、精神科に通うほど追い詰められているのであれば、どのような状況と症状で悩まされているのか詳細に記載します。
診断書やカウンセリング記録を提出できると、精神的苦痛の程度の参考になるでしょう。
弁護士を立てるかどうかの判断
裁判を進めるにあたって、弁護士を立てるかどうかを判断することが重要です。
弁護士を立てることで裁判の準備や進行を円滑に進められ、勝訴の可能性が高まります。
弁護士は法律の専門家として、裁判においてさまざまな面でサポートしてくれます。
【弁護士のおもなサポート内容】
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不倫による慰謝料請求で裁判に発展するケース
不倫による慰謝料請求で裁判にまで発展するのは、どのようなケースでしょうか。
具体例を用いて解説します。
相手が不貞行為を否定しているケース
相手が不貞行為をおこなっている確かな証拠があるにもかかわらず、認めないというのであれば慰謝料を支払うことはほぼありません。
どんなに交渉しても並行線を辿るのであれば、裁判に発展する可能性が高いでしょう。
裁判に発展する場合は、とにかく証拠が大事になります。
相手の不貞行為を証明する、確固たる証拠を用意しましょう。
不倫の慰謝料請求を無視されているケース
再三の慰謝料請求にもかかわらず無視されている場合は、今後も慰謝料請求に応じないことが想定されます。
無視できない状況を生み出すには、裁判を起こして相手と交渉できる状態にするしかありません。
もし、裁判を無視したら原告の主張が認められることになるため、相手は無視できなくなります。
当事者同士の交渉が決裂したケース
当事者同士の交渉が決裂した場合は、いくら弁護士が間に入っても当事者同士が納得できていない以上進展しません。
裁判に発展すれば、当事者同士で交渉が決裂していたとしても、裁判官が最終的に判断します。
裁判になると手間や時間もかかりますが、どうしても慰謝料請求したい場合は裁判への移行も考える必要があります。
不倫関係の真相を解明したいケース
裁判では、原告と被告の主張によって、不倫に至った経緯が明らかになる可能性があります。
ただ慰謝料を支払ってもらうのではなく、不倫関係の真相を解明して気持ちの整理をつけたい人にとっては、裁判を起こす意味はあるでしょう。
何がなんでも慰謝料を支払わせたいケース
何がなんでも慰謝料を支払わせたいと考えているのであれば、裁判を起こすことがおすすめです。
裁判の判決を得られれば、強制執行ができるようになります。
たとえば、強制執行の対象には給与も含まれます。
給与が差し押さえられれば会社に差し押さえの事実が伝わってしまうため、慰謝料請求に対応してもらえる可能性が高まります。
相手に慰謝料を支払わせる十分な動機となるため、何がなんでも慰謝料を支払わせたい場合には裁判がおすすめです。
不倫による慰謝料請求裁判の具体的な流れ
ここからは、不倫による慰謝料請求裁判の具体的な流れについて解説します。
- 訴状の作成と提出
- 相手方への訴状送達
- 第一回口頭弁論
- 二回目以降の口頭弁論
- 証人・当事者尋問(必要な場合)
- 和解交渉(裁判所からの提案)
- 判決
それぞれについて見ていきましょう。
【訴訟提起】訴状の作成と提出
裁判の第一歩は訴状を裁判所に提出することです。
訴状には、慰謝料請求の理由や具体的な額を記載します。
訴状の作成は専門的な知識が必要になるため、慎重に進めましょう。
訴状に書くのは、以下の内容です。
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訴状を提出する際には、以下の書類を添付しましょう。
- 訴状副本:被告の人数分
- 書証の写し:裁判所用として1通、被告用として被告の人数分
- 資格証明書(代表者事項証明書等):原告や被告が法人のとき
- 戸籍謄本、戸籍の記録事項証明書:原告や被告が未成年のとき
提出するときには、事案に応じた収入印紙を貼ります。
また、訴状は裁判所へ郵送するか直接持参することになります。
郵便切手の金額は、基本的に6,000円です。
相手方への訴状送達
訴状を裁判所に提出すると、裁判所が訴状を審査します。
不備がなければ裁判所は訴状を受理し、裁判所は原告の意見を聴いたうえで期日を指定します。
訴訟の提起から約1か月後の日付が指定されることが通常です。
その後、裁判所が訴状などを相手方に送達し、相手方が訴状を受け取ると弁論の準備が進みます。
もし、訴状の送達を無視し続けた場合、被告は反論する機会を失うことになります。
大きな不利益となるため、弁護士を立てているのであればきちんと被告に伝えることが必要です。
第一回口頭弁論
口頭弁論とは、民事訴訟において裁判官の前で当事者または代理人(おもに弁護士)が口頭で意見・主張を述べ合うことを指します。
第一回の口頭弁論は、原告と裁判所側で日程調整していますが、被告側は日程調整に参加できていません。
そのため、被告側は事前に答弁書を提出し、出席できない旨を記載して当日は欠席することが通常です。
また、第一回口頭弁論では、訴状と答弁書の陳述のほかは今後の進行について話す程度で終わり、争いのある事実などの話はしないことが多くなっています。
【口頭弁論】2回目以降
第一回以降の口頭弁論は、おおよそ1〜2ヶ月置きに期日が指定されます。
口頭弁論では、当事者または代理人同士が主張と反論を繰り返していきます。
証拠を提出する際には、証拠能力を裁判所に認められることが必要です。
文書などを証拠として提出する際には、以下の方法で行います。
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第二回口頭弁論以降で証拠が認められなかった場合でも、裁判所が主張や立証、釈明の必要性を認めれば、再度口頭弁論を開くことが可能です。
証人・当事者尋問(必要な場合)
和解を目指すのではなく決着をつけたい場合は、証人・当事者尋問を行えます。
証人・当事者尋問は、裁判所が尋問の必要があると判断した場合にのみ認められるものです。
たとえば、証人尋問であれば証人も裁判所に出廷する必要があります。
書面ではなく当事者や証人が直接体験していることを口頭で答える手続きなので、裁判官に与える影響も大きくなる点が特徴です。
和解交渉(裁判所からの提案)
当事者の主張や証拠が出揃い、ある程度の弁論が進むと裁判所から和解の提案がなされることがあります。
和解には判決と同等の効力があり、裁判を短縮できるメリットがあります。
また、双方が納得する形で裁判を終えられるのであれば、勝ちも負けもありません。
ただし、和解は強制的なものではないため、納得できる和解案でなければ裁判は継続します。
和解交渉の際には、以下の2つのポイントを意識しておきましょう。
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判決とその後
和解が成立しなかった場合、裁判所は判決を言い渡します。
判決が確定した場合は慰謝料の支払いが命じられ、強制執行されることになります。
ただし、判決に不服がある場合には上訴期間中に控訴が可能です。
控訴状は、判決の送達を受けた日から2週間以内に第一審の裁判所に提出します。
慰謝料請求裁判における注意点
慰謝料請求裁判は法的知識がないと円滑に進めることは難しく、誰でも簡単にできるものではありません。
慰謝料請求裁判における注意点を解説します。
弁護士なしで裁判を進めるリスク
弁護士を立てずに裁判を進めることも可能です。
しかし、裁判手続きの複雑さから、裁判を円滑に進めるためには専門知識が必要です。
弁護士を立てずに裁判を進めるリスクを理解したうえで、弁護士を検討することが望ましいでしょう。
弁護士を立てずに裁判を進める場合には、以下のようなリスクがあります。
相手が弁護士を立てて対応する場合、自力では不利になることが多く、場合によっては反対に訴えられるリスクも存在します。
慰謝料請求を自分で行うと、相場より低い金額で納得させられる可能性があります。 |
たしかに、弁護士に依頼することで高額な弁護士費用がかかります。
ただ、訴状の書き方や証拠の集め方など弁護士がいることで裁判を有利に進められる可能性が高くなることも事実です。
弁護士を立てるかどうかは、状況に応じてよく考えて判断しましょう。
裁判費用の負担
裁判には費用がかかりますが、勝訴した場合には相手から費用を回収できます。
ただし、敗訴して請求金額が認められないと自己負担が増えて赤字になってしまう可能性も出てきます。
裁判費用の負担についても事前に理解しておきましょう。
裁判費用は、訴訟費用と弁護士費用の2種類があります。
訴訟費用とは、裁判所や当事者が訴訟の手続上で支出した費用のうち、法律で定められた範囲のものを指します。
具体的には、以下のとおりです。
- 訴状や申立書に収入印紙を貼付して支払われる手数料
- 書類を送るための郵便料
- 証人の旅費日当
弁護士費用は、おもに以下の5つに分けられます。
明確な相場は存在せず、事務所ごとに自由に決められます。
※費用相場は、あくまで目安です。
弁護士費用の内訳 | 相場 |
相談料 | 30分5,000円程度
※初回無料の事務所も多い |
着手料 | 経済的利益の2~8%+α
※最低額が10万円とされることが多い |
報酬金 | 経済的利益の4~16%+α |
手数料 | 案件次第 |
実費・日当 | 案件次第 |
慰謝料請求の場合は、相談料が5,000円~1万円で着手金は20~50万円程度が一般的といわれています。
これに報酬金や手数料、実費や日当が加算されます。
訴訟費用の支払いが難しい方でも訴訟費用の支払いを猶予する制度があるため、裁判を受ける権利は保障されています。
ただし、申立ての内容などから勝訴の見込みがないことが明らかなときは、訴訟費用の支払いを猶予する制度が認められないことがあります。
長期戦が前提|精神的・肉体的負担が大きい
一般的に、民事訴訟は長期戦が前提となります。
判決が出るまで時間がかかるため、精神的・肉体的負担はどうしても大きくなります。
そのため、長期戦を乗り切る覚悟が必要になるでしょう。
慰謝料請求の裁判手順の流れを理解した上で、弁護士に依頼するか決めよう
本記事では、不倫・浮気による慰謝料請求の裁判手順とともに、自分か弁護士かの判断基準やリスクも徹底解説しました。
裁判を自分で進めていくか、弁護士を立てて進めていくかの判断は非常に重要です。
弁護士を立てることで裁判の準備や進行を円滑に進められ、勝訴の可能性が高まります。
慰謝料請求裁判は法的知識がないと円滑に進めることは難しく、誰でも簡単にできるものではありません。
不倫慰謝料請求の裁判を検討中の人は、ぜひ一度弁護士に相談してください。