「浮気慰謝料を計算しようと思っても、どうやって計算すればよいのだろう……」
慰謝料を請求しようと思っても、計算方法が分からず悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
慰謝料は相場やさまざまな要素を考慮して決まるため、正確な金額を算出することは難しいでしょう。
ただし、慰謝料の金額を決める要素の知識があれば、ある程度の金額を算出できます。
本記事では、浮気慰謝料の計算方法と相場について、具体例を出しながら詳しく解説します。
浮気の慰謝料とは?不貞行為の基準
浮気の慰謝料は、どのような条件が満たされているときに請求できるでしょうか。
浮気の慰謝料の基本概念や定義について詳しく解説します。
浮気慰謝料の基本概念
浮気慰謝料とは、配偶者が他の異性と不貞行為をおこなった場合、被害者が請求できる賠償金です。
民法上の不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条・710条)の規定から、不貞行為による精神的苦痛への対価として慰謝料請求ができます。
慰謝料請求できるのは、以下の条件が満たされている場合です。
- 何らかの権利が侵害されていること
本来は保護されるべき法律上の個人の権利や、利益が侵害されていることが必要です。
貞操義務違反による慰謝料請求(民法第770条1項1号)が認められるのは、不倫前にはあった「夫婦間の平和な関係の維持」という権利が侵害されているためです。
一方で、既に婚姻関係が破綻しているような場合には、慰謝料の請求は基本的に認められません。
- 加害者に故意・過失が認められること
たとえば、加害者が自分の不貞行為によって配偶者が傷つくのを知って不倫した場合や、少し考えれば配偶者がショックを受けることくらいわかるのに、特別な注意を払っていなかった場合などが該当します。
- 時効が成立していないこと
原則として、自分が損害を受けたことや加害者がわかった時点から3年以内に慰謝料を請求する必要があります。
不貞行為の定義とは?
日本の法律では、不貞行為とは基本的に配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを指します。
不貞行為は離婚事由の1つとして、民法で定められています。
(裁判上の離婚)
第七百七十条
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
【引用】e-gov法令検索「民法」
不貞行為に該当するためには以下の条件を満たすことが必要です。
- 夫婦関係があること
夫婦関係にない(独身同士)男女が別の者と肉体関係を持ったとしても、不貞行為にはあたりません。
- 肉体関係があること
性的行為がない場合でも、キスや手をつなぐなどの行為で慰謝料が認められるケースもあります。
- 自由な意思に基づく行為であること
無理やり性行為されたような場合は、不貞行為にあたりません。
浮気慰謝料の計算方法
浮気慰謝料の金額を決める明確な計算方法はありません。
さまざまな要素を考慮して決めていくことになります。
以下では、浮気慰謝料の計算に関係する8つの要素について解説します。
浮気慰謝料の計算に関係する8つの要素
浮気慰謝料の計算に関係する8つの要素は、以下のとおりです。
- 不倫が起こる前の夫婦関係
- 不倫が起こったあとの夫婦関係
- 結婚期間
- 不倫期間
- 不貞行為の主導権
- 未成年の子どもの有無
- 請求される人の財力
- 不貞行為後の対応
それぞれにつき、増額要素と減額要素を出しながら解説します。
- 不倫が起こる前の夫婦関係
増額要素 | 減額要素 |
夫婦関係が円満だった | 夫婦関係が円満ではなかった |
不倫が起こる前の夫婦関係がどうだったのか、なぜ不倫が起きたのかなどの経緯が考慮されます。
夫婦関係が円満だった場合に慰謝料が高くなるのは、夫婦間の平和な関係が壊されたことによる精神的苦痛の程度が大きいといえるでしょう。
- 不倫が起こったあとの夫婦関係
増額要素 | 減額要素 |
離婚または別居となっている | 婚姻関係が継続している |
不倫によって離婚となったり別居することになったりした場合は、夫婦関係が破綻したと考えられるため慰謝料が高くなる傾向にあります。
一方で、婚姻関係がまだ継続している場合には、慰謝料の減額につながる可能性があります。
- 結婚期間
増額要素 | 減額要素 |
長い | 短い(数ヶ月〜3年程度) |
結婚期間が長いにもかかわらず配偶者が不倫した場合の精神的苦痛は、かなり大きいだろうと判断されます。
結婚期間の長さは、20年以上の場合だと長さが考慮されて高額な慰謝料が認められやすいといわれています。
- 不倫期間
増額要素 | 減額要素 |
長い | 短い(数ヶ月程度) |
不倫期間が長いと、慰謝料が高くなる傾向があります。
不倫期間の長さは、1年以上にわたっていると長期間と判断されやすいです。
- 不貞行為の主導権
増額要素 | 減額要素 |
主導権を持っていた | 主導権がなかった |
不倫の主導権を握っていた場合は、責任が重たくなるため慰謝料が高くなる可能性が高いといえます。
たとえば、不倫相手が浮気に誘っていたり頻繁に連絡していたなどの証拠があれば、不倫相手に対しての慰謝料を増額できる可能性があるでしょう。
- 未成年の子どもの有無
増額要素 | 減額要素 |
あり | なし |
幼い子どもがいるにもかかわらず不倫された場合、不倫によって受ける精神的苦痛は大きいと判断されやすくなります。
- 請求される人の財力
増額要素 | 減額要素 |
財力が高い | 財力が乏しい |
慰謝料請求される人が高い社会的地位や経済力を有している場合には、慰謝料を増額できる可能性が高くなります。
- 不貞行為後の対応
増額要素 | 減額要素 |
謝罪がなかった | 謝罪があった |
配偶者や不倫相手から謝罪したり反省したりしている場合は、精神的苦痛が和らいでいる可能性があります。
不貞行為後の対応によって、慰謝料の増減がみられます。
年収別の浮気の慰謝料相場
慰謝料は年収に応じて変動し、年収が高いほど慰謝料も高額になる傾向があります。
ただし、年収による慰謝料の増額に法律上の基準や特定のルールはありません。
相手との交渉によって慰謝料を決めるのが通常です。
<例>
年収400万円の慰謝料相場:50〜200万円程度 年収1000万円の慰謝料相場:200〜500万円程度 |
浮気の慰謝料計算で重要視される3つの要素
浮気の慰謝料計算において、特に重要視される要素が3つあります。
- 浮気・不倫の期間と頻度
- 婚姻期間の長さ
- 浮気・不倫がきっかけで離婚するかどうか
以下で具体的に解説します。
浮気・不倫の期間と頻度
浮気・不倫の期間が長ければ長いほど、頻度が多ければ多いほど慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。
長期間、複数回にわたって不倫関係が続けられていたほうが、精神的苦痛が大きいと判断されるためです。
婚姻期間の長さ
婚姻期間の長さも、浮気の慰謝料を決める上で重要視される要素です。
具体的には、結婚してから不倫が発覚するまでの平和な期間が長ければ長いほど、慰謝料が高くなるといわれています。
浮気・不倫がきっかけで離婚するかどうか
浮気・不倫がきっかけで離婚するか否かで慰謝料が変わります。
また、浮気の程度や夫婦関係にどのくらいの影響を与えたのかなど、さまざまな要因により浮気慰謝料が変わるといわれています。
浮気の慰謝料計算を具体例で解説!
実際に具体例を出して、浮気の慰謝料を計算してみましょう。
以下の数値を参考にして算出します。
※あくまでも目安の数値です。
結婚の期間
(年) |
離婚の有無 | 不倫の期間 | |
〜1年 | 1年以上 | ||
1〜5 | あり | 100〜200万円 | 150〜200万円 |
なし | 30〜100万円 | 50〜100万円 | |
5〜10 | あり | 150〜200万円 | 150〜300万円 |
なし | 50〜100万円 | 100〜150万円 | |
10〜 | あり | 200〜250万円 | 200〜300万円 |
なし | 50〜150万円 | 100〜250万円 |
Aさんのケース
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Aさんのケースでは、結婚期間は20年と長期間といえます。
不倫期間は2ヶ月と短めで、離婚しないでやり直すことにしています。
上記の表の数値にあてはめると、慰謝料は50〜150万程度になるでしょう。
ここから、増額要素と減額要素を加えていきます。
- 増額要素:子どもの存在
- 減額要素:謝罪あり、配偶者に主導権あり
以上のことから、慰謝料が増額される可能性は少なくなり、50〜100万円程度の慰謝料になるでしょう。
Bさんのケース
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Aさんのケースでは、結婚期間は2年と短いものの不倫期間は1年と長く、配偶者を許せなくて離婚しようと思っています。
上記の表の数値にあてはめると、慰謝料は150〜200万程度になるでしょう。
ここから、増額要素と減額要素を加えていきます。
- 増額要素:子どもの存在、慰謝料を請求する相手の年収、不倫相手に主導権
- 減額要素:謝罪あり
以上のことから、慰謝料が増額される可能性があり、250〜300万円程度の慰謝料になるでしょう。
浮気の慰謝料請求をおこなうリスクと注意点
浮気や不倫が発覚した場合、感情的になって慰謝料を請求したくなる気持ちもよくわかります。
ただし、慰謝料請求するときには以下の注意点を意識しましょう。
浮気慰謝料を請求するときのリスクと注意点について解説します。
- 関係修復を望む場合
夫婦関係の修復を希望する場合、慰謝料請求が関係をさらに悪化させる可能性があります。
円満に修復したい場合は、慰謝料請求を見送ることも選択肢の一つです。
- 証拠が不十分な場合
浮気の証拠が不足していると、裁判で慰謝料が認められない場合があります。
浮気していたことが確実だと思われる証拠を確保することが重要です。
ただし、証拠集めの際にも行き過ぎた証拠集めは違法性が生じる可能性があるため注意しましょう。
- 慰謝料の金額が期待できない場合
慰謝料の金額が期待できない場合は請求にかかる費用のほうがかかるため、かえって損する可能性があります。
弁護士費用はおおよそ30〜40万円かかることが多いため、もし慰謝料の請求額が50万円を下回る場合は、慰謝料請求すること自体を再検討する必要があるでしょう。
また、相手に慰謝料の支払い能力が備わっているかどうかも確認しておきましょう。
お金がない相手から、慰謝料がきちんと支払われるかどうかの期待は薄いのが現実です。
計算どおりの慰謝料を獲得するためのポイント
希望する慰謝料を獲得するためには、どのような工夫が必要でしょうか。
計算どおりの慰謝料を獲得するためのポイントを解説します。
浮気を証明する確実な証拠を集める
計算どおりの慰謝料を獲得するためには、何より浮気を証明する確実な証拠が必要です。
仮に裁判になってしまったとしたら、証拠の裏付けがないと主張が認められにくくなる可能性が高くなります。
一般的に、浮気の証拠となりえるものとなりえないものは、以下のとおりです。
男女関係があったと推測できる内容だと、より証拠として有効性が高いものといえるでしょう。
証拠となりえるもの | 証拠となりえないもの |
|
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精神的な苦痛を受けたと主張する
精神的苦痛を受けたことを主張することで、計算どおりの慰謝料を獲得できる可能性が高まります。
精神的苦痛とは、悲しいことや辛いことが起きた場合に生じる、強い精神的な負担を指します。
たとえば、離婚によるショックでうつ病を発症して会社を退職することになった場合などです。
この場合、症状の裏付けとなる医師の診断書などを証拠として提出できれば、精神的苦痛の大きさを主張できるでしょう。
弁護士を立てる
計算どおりの慰謝料を獲得したい場合は、弁護士を立てて交渉することがおすすめです。
浮気慰謝料の請求は法的手続きが複雑であり、相手からの反発も予想されます。
交渉を円滑に進めるためにも、法律の専門家である弁護士のサポートが必要になるでしょう。
特に、相手が弁護士を立てた場合は自分一人で対抗するのは困難です。
計算どおりの慰謝料の獲得が難しそうだと考えている場合は、一度弁護士に相談してみましょう。
浮気慰謝料の計算から請求まで弁護士に依頼することがおすすめ
本記事では、浮気慰謝料の計算方法と相場について、具体例を出しながら詳しく解説しました。
浮気の慰謝料を決める明確な計算方法はなく、さまざまな要素を考慮して決めていくことになります。
そのため、自分で慰謝料請求すると、希望どおりの慰謝料を獲得できない可能性が高いでしょう。
弁護士に依頼すれば、浮気慰謝料の計算から証拠集めのアドバイスまでさまざまなサポートが期待できます。
また、裁判にまで発展してしまうと、お金だけではなく労力もかかり負担が大きくなる一方でしょう。
浮気慰謝料の計算や請求を円滑におこないたいと考えている人は、弁護士に依頼することを検討してみてください。