不倫を理由に「〇〇しないと、浮気を家族にばらしてやる!」と交際の継続を強要されたり、金銭を要求されたりした経験のある方もいるのではないでしょうか。
ばらされるのを恐れるあまり、相手の言うことを聞いてしまうケースは多いです。
しかしたとえ不倫が理由であっても、脅迫は脅迫です。
脅迫罪として法的に罰せられる可能性があります。
本記事では、脅迫の定義や浮気相手からの嫌がらせで法的な問題になるケース、浮気に関連する脅迫行為への対応策について解説していきます。
浮気相手からの脅迫行為でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
脅迫の定義と浮気に関連する脅迫行為
まず始めに、脅迫の定義と浮気に関連するよくある嫌がらせ、脅迫行為について詳しくみていきましょう。
脅迫の定義:脅迫罪とは?
脅迫とは恐怖心を与える目的で、生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加えることを相手に告知する行為のことです。
刑法第222条において、他人に対する脅迫行為は以下の通り「脅迫罪」として罰せられます。
第二百二十二条生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
【引用】刑法 | e-Gov 法令検索
脅迫罪にあたる可能性のある発言は、以下の5種類です。
- 「お前を殺してやる」「子供を殺されてもいいのか」(生命に対する危害)
- 「痛い目に遭わせてやる」「ボコボコにするぞ」(身体に対する危害)
- 「お前を閉じ込めてやる」「子供を誘拐する」(自由に対する危害)
- 「会社に全部ばらすぞ」「SNSで拡散する」(名誉に対する危害)
- 「お前の家に火をつけるぞ」「車を壊してやる」(財産に対する危害)
このように危害を告知する発言があり、その言葉によって恐怖心が芽生えたと認められれば、脅迫罪が成立する可能性が高いです。
浮気相手からの嫌がらせ・脅迫でよくあるケース
浮気相手に別れを切り出した時や、浮気相手の配偶者に浮気が発覚した時などに、「〇〇万円払わないと浮気の事実を公にする」「職場に乗り込んでばらしてやる」といった脅迫が行われることがあります。
浮気をしているという弱みがあるため、動揺して相手の言いなりになってしまうケースは少なくありません。
しかしこれらの嫌がらせや脅迫行為は相手に恐怖を与えるため、脅迫罪として法的に罰せられる可能性があります。
「職場に乗り込んで全部ばらす」などの発言は名誉に対する危害の告知で、明らかな脅迫行為であると判断され、刑事事件として取り扱われることがあります。
浮気が原因でも脅迫行為が法的に問題となるケース
浮気という民法上の不法行為が原因でも、脅迫行為が脅迫罪として成立する要件と立証されやすいポイント、脅迫が会社や職場へ与える影響について解説します。
脅迫罪の成立要件と立証のポイント
浮気相手からの脅迫を不法行為として成立させるためには、相手や相手の親族(配偶者・子供・両親など)が脅迫行為によって恐怖を感じたかどうかが重要な要素となります。
また加害者と被害者の関係性や体格差なども考慮されます。
警察に被害届を出して脅迫罪を立証するためには、脅迫されているとわかる客観的な証拠が必要です。
- 手紙や脅迫文、危害を加えるという内容のメールやSNSなどのメッセージ
- SNSなどネットへの投稿画面のスクリーンショット
- 電話や口頭で会話した時の録音・録画データ
- 防犯カメラの映像や音声データ
- 「脅迫しているところを見た」という、現場を目撃した第三者の証言
このような証拠があれば警察が動き、被害届や告訴状が受理される可能性があります。
会社や職場への影響:名誉毀損や信用失墜行為のリスク
浮気が発覚し、職場にばらされた場合、不特定多数の人がいる場所で具体的な事実を公表し、社会的な評価を低下させることになるため、名誉毀損やプライバシーの侵害として訴えることが可能です。
そもそも浮気はあくまでプライベートの問題であり、懲戒解雇の対象にはならないことが多いです。
しかし不倫が会社の名誉・信用を侵害した場合や、職場の風紀や人間関係に悪影響を及ぼした場合は懲戒処分を受けるケースがあります。
また、特に公務員や警察官などの職業では、不貞行為のような不適切な異性交際等の不健全な生活態度は「信用失墜行為」として処罰される可能性もあるでしょう。
浮気を職場にばらされると、社会的な信用を失うのはもちろん、社内での人間関係が悪くなったり会社に居づらくなったりして、自主退職に追い込まれることも考えられます。
浮気に関連した脅迫行為への対応策
浮気に関連した脅迫を受けた場合、どのように対処すれば良いのかわからない方もいるでしょう。
ここからは浮気に関連した脅迫行為への対応策と注意点をご紹介します。
警察や弁護士へ相談する
脅迫行為に遭ってしまったら、まずは警察に相談することが必要です。
特に、相手が暴力や職場への侵入を予告している場合、脅迫罪にあたる可能性が高いため、脅迫の証拠を集めて警察に相談することが重要です。
脅迫罪を確実に立証できる証拠が少なくても、警察が相手に連絡をして注意してくれるケースもあるので、身の安全を確保するためにも迅速な行動が求められます。
また弁護士に相談することで、相手の脅迫が法的な措置に値する行為に当たるのか、当たらないのかを判断してもらえるでしょう。
法律の専門家に頼ることで、相手も下手な言動ができなくなりますし、相手と直接交渉しないで済むという安心感も得られます。
脅迫行為の証拠を集める
法的措置を取るためには、脅迫行為の証拠をしっかりと確保することが大切です。
脅迫行為を立証できるような客観的な証拠がないと、警察が被害届を受理してくれず、動いてくれない可能性があります。
相手から来たメッセージのスクリーンショット、音声の録音などが証拠として有効です。
このような証拠は裁判の際に相手の脅迫行為を立証し、優位に立つための重要な要素となるでしょう。
法的措置を取る際の注意点
法的措置を取ることを検討する際には、まず弁護士に相談することが有効です。
相手の反応や状況を客観的に判断し、脅迫罪で警察に被害届を出すのか、それとも名誉棄損で民事訴訟を起こし、損害賠償請求をするのかなど、どういった法的手段を取るべきかを弁護士がアドバイスしてくれます。
また、事前にしっかりと脅迫行為の証拠を集め、保全しておくことが、後の裁判において重要です。
弁護士に相談すると、証拠の集め方や見落としていた証拠を指摘してくれるでしょう。
浮気が原因の脅迫でも慰謝料請求は可能?
浮気という不法行為が原因の脅迫でも、精神的苦痛を受けたことで慰謝料を請求したいと思う方もいるでしょう。
浮気が原因でも慰謝料を請求できるのか、金額はどのように決まるのかを解説します。
精神的苦痛に対する慰謝料請求が可能
浮気が原因であっても、脅迫行為によって精神的苦痛を被った場合、慰謝料を請求可能です。
精神的苦痛とは、恐怖など過度なストレスがかかった場合に感じる苦痛のことを指します。
浮気を不特定多数の人に知られる場所で公表され、社会的評価を低下させられた場合や、インターネットの掲示板などに書き込みをされた場合、名誉棄損にあたる可能性が高いでしょう。
名誉棄損によって精神的苦痛を受けた場合には、加害者に慰謝料を請求できます。
脅迫行為がエスカレートし、精神的に深いダメージを負った場合は弁護士を通じて慰謝料請求を行いましょう。
精神的苦痛に対する慰謝料の請求は、内容証明郵便を利用して書面で請求するのが一般的です。
口頭でも慰謝料の支払いや金額の話し合いができますが、後で言った・言わないのトラブルを避けるためにも、書面を作成する必要があります。
慰謝料の金額はどのように決まる?
脅迫行為による精神的苦痛への慰謝料の金額は、一般的には数万円~100万円以下となっています。
これは脅迫の内容や被害者が受けた精神的苦痛の大きさに応じて決まります。
特に、脅迫行為が長期にわたって継続して行われた場合や、被害者に甚大な精神的苦痛を与えた場合は、慰謝料の金額が200~300万円と高額になる可能性が高いです。
また弁護士から警察に脅迫罪で被害届を出されるのを避けるため、加害者が示談をして慰謝料を払いたいという場合は、裁判より示談交渉の方が慰謝料の金額が高くなるケースもあります。
脅迫に自分だけで対処することは避けたほうがいい?
浮気が原因で脅迫をされた場合、ことを大きくしたくない人は自分で対処したいと考えることが多いです。
職場にばらされるのを防ぐために、焦って相手の要求を受け入れてしまう方もいるでしょう。
しかし自分だけで相手の要求に応じるなどの対応をしていると、金銭的なリスクが大きくなったり、相手の要求がよりエスカレートしたりする可能性もあります。
自分が浮気をしたという罪悪感から強気に出れない方もいますが、状況がこれ以上悪化する前に弁護士に相談することが大切です。
相手から金銭を要求されている場合は、「支払わなければならないのか」「金額は妥当であるか」など弁護士から状況に応じたアドバイスをもらえるでしょう。
またあまりにも相手が冷静さを欠き、脅迫行為がエスカレートしていて身の危険を感じる場合には、警察に相談することをおすすめします。
脅迫されていることがはっきりとわかる証拠を集めて提出すれば、脅迫罪が立証でき、刑事事件として告訴できる可能性もあります。
浮気で脅迫されたら、弁護士や警察に相談しよう
浮気を行っていた事実が原因で浮気相手やその配偶者から脅迫された場合、「浮気をしたのは事実だから」と負い目に感じ、大事にならないように対応しようとする方も多いでしょう。
特に社会的な信用を気にして、職場にばらされたくないと考えた結果、相手の言いなりになってしまうことも。
しかし浮気をしたからといって、相手の要求を全て受け入れなければならないということはありません。
脅迫は刑法上の「脅迫罪」に当たる可能性があります。
脅迫行為をやめさせるためにも、迅速に弁護士や警察に相談するなどの対応を検討しましょう。
脅迫罪を立証したり、精神的苦痛に対する慰謝料請求をしたりする場合は、しっかりと相手の脅迫の証拠を集めておくことが重要です。
恐怖のあまりメールやSNSのメッセージなどを消してしまいたい気持ちもあるかもしれませんが、確実な証拠を残しておくと、後に裁判になった際に有利になります。
弁護士に相談し、どのような証拠を保全すべきか、どのように対応すべきかなどのアドバイスをもらうといいでしょう。