誓約書とは、約束事を決める際に「約束を守ります」という内容を記した書面です。
誓約書を上手く活用すれば、離婚や示談のときなどに効果を発揮します。
ただし、誓約書の内容によっては、無効にしたり取り消したりできないのかと後悔している方もいるのではないでしょうか。
本記事では、誓約書を守らなかった場合はどうなるのか、リスクと法的対応について徹底解説します。
誓約書とは?法的効力の概要
誓約書とは、当事者同士で「何らかの約束事を守る」ことを書面化したものです。
大事な約束や契約の場面では「契約書」が使用されることが多いですが、誓約書とは何が違うのでしょうか。
また、誓約書とは法的効力を有するのでしょうか。
以下で詳しく解説します。
誓約書と契約書の違い
誓約書と契約書は、以下の3点で違いがあります。
- 約束する当事者
- 署名・押印の有無
- 義務の負担
以下で表にしてまとめます。
誓約書 | 契約書 | |
内容 | 当事者同士で「何らかの約束事を守る」ということを書面化したもの | 当事者同士で、契約の成立などを証明する目的で作成される文書 |
約束する当事者 | 当事者の片方 | 当事者の双方 |
署名・押印の有無 | 誓約する側のみ署名・押印が必要 | 両当事者の署名・押印が必要 |
義務の負担 | 文書を作成した当事者のみが義務を負う | 両当事者がそれぞれの義務を負う |
なぜ、誓約書を作成する必要があるのか
なぜ、わざわざ誓約書を作成するのでしょうか。
おもな理由は、以下の3つです。
- 口約束によるトラブルを避ける
誓約書は、双方が納得した上で約束事を書面化したものとして証拠になります。
たとえば、約束を口約束で済ませてしまうと「言った」か「言っていないか」のトラブルが起きる可能性があります。
録音でもしていない限りは証拠がないため、口約束によるトラブルを避けるためにも誓約書を作成する必要があるのです。
- 再発防止をはかる
たとえば、不倫した配偶者に誓約書を作成してもらう場合、誓約書には「次は離婚します」などといった内容を記入してもらいます。
口約束では何ら証拠は残りませんが、誓約書として書面化すれば証拠として残るため再発防止になるでしょう。
- 心理的なプレッシャーを与える
誓約書を作成して相手に署名・押印してもらうことで、「誓約書を作成した以上、約束は守らないといけない」というような心理的なプレッシャーを与えられます。
口約束だけでは証拠がないため、誓約書を作成した場合よりもプレッシャーは感じないと言えます。
法的効力を持つ誓約書とは?
誓約書には、内容や形式に法律上の決まりがありません。
原則として誓約書内に具体的な条件が書かれていて、誓約者の署名・押印があれば法的効力を発揮します。
たとえば、誓約書内に書かれた内容が実行されなかった場合には、債務不履行として損害賠償請求が可能です。
ただし、誓約書の作成を強要された場合や不適切な内容の誓約書は、無効となる可能性があります。
誓約書を守らなかった場合のリスク
双方が納得した上で誓約書を作成していれば問題ありません。
ただし、完全に納得できずに誓約書にサインしてしまった場合、誓約を破ろうとしてしまう方もいるのではないでしょうか。
誓約書を守らなかった場合には、どのようなリスクがあるのか、不倫だけでなく一般的なケースについても解説します。
- 懲戒処分や解雇
たとえば、入社時に「秘密保持誓約書」などにサインしていた場合、違反した場合は誓約書の遵守義務違反ということで懲戒処分または解雇の対象となります。
ただし、誓約書を守らなかったとしても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合の解雇は無効です。
指導や懲戒処分などがなく急に解雇されたような場合は、不当解雇として争ったほうがよいでしょう。
- 損害賠償請求
有効な誓約書は法的効力を有するため、誓約書の遵守義務違反があった場合は損害賠償責任などを負う可能性があります。
誓約書には、違反した際の具体的な損害賠償額や法的責任を明記することが多くなっています。
誓約書を守らなかった場合の対応策
原則として誓約書に一度署名・押印したら、記載内容を遵守する必要があります。
誓約書の無効・取り消しを主張することは、基本的に難しいでしょう。
そのため、もし誓約書を守らなかった場合、どのような対応策をとればよいでしょうか。
リスク軽減方法や法的トラブルを避けるためのアドバイスを解説します。
誓約書違反が発覚した場合のリスク軽減方法
誓約書の遵守義務違反などについては、可能な限り早めに弁護士に相談して法的に適切な対応を取ることが重要です。
以下のような場合は、誓約書の法的効力が否定される可能性があります。
- 相手が誓約書の無効に同意した場合
契約書の内容を見直したほうが双方のためになる場合は、相手が誓約書の無効に同意してくれる可能性があります。
たとえば、毎月10万円支払う約束だったものの、支払いが厳しくなりついには未払いになってしまったような場合です。
双方が話し合って毎月5万円なら確実に支払えると合意ができたのであれば、確実に支払える金額に設定して再度誓約書を結んだほうが、双方のメリットとなるでしょう。
- 強引に署名・押印させられた場合
もし、強迫されて強引に署名・押印させられたような場合は、取り消せる可能性があります。
(民法第96条1項)
ただし、相手は「強迫なんてしていない!」と主張することが予想されるため、強迫されたことの証拠が必要です。
- 誓約書の内容が法外の場合
誓約書に記載されている慰謝料や損賠賠償額がもともと到底支払えない金額の場合や、公序良俗に反するような場合は、誓約書が無効になる可能性があります。
法的トラブルを避けるためのアドバイス
誓約書を守らなかった場合の法的トラブルを避けるために、誓約書にサインする前に内容をきちんと理解しましょう。
そして、誓約書に不明点があれば、弁護士に一度確認することをおすすめします。
基本的に、誓約書は法的効力を有します。
誓約書の内容は軽視せず、違反行為を未然に防ぐことで法的トラブルを回避しましょう。
誓約書を守らなかった場合には今後の対応も含めて弁護士に相談しよう
本記事では、誓約書を守らなかった場合はどうなるのか、リスクと法的対応について徹底解説しました。
誓約書は法的効力を有するため、守らなかった場合は法的責任を追及される可能性があります。
ただし、誓約書に何か問題があった場合は、例外的に無効や取り消しを主張できる可能性があります。
誓約書を守らなかった場合は、可能な限り早めに弁護士に相談して法的に適切な対応を取るようにしましょう。